サラマンダー・イモリの繁殖方法(繁殖行動誘発〜産卵まで)
イモリ類はどの種も比較的簡単に繁殖させることができますから、是非狙ってみて下さい。
私がこれまでにサラマンダー類の繁殖に成功した種は4種のみですが、基本的な繁殖方法はイモリ類と同じですのでこちらも狙ってみて下さい。
また、イボイモリ属では、ミナミイボイモリで1度繁殖させることができましたが、未だに繁殖方法の確立には至っていないため、報文等も参考にして解っていることを解説させていただきます。
繁殖させる成体について
- 健康な個体を選ぶ
- なるべく大きく太った個体で、活動も活発な個体を選んで下さい。
- 複数のペアまたは雄を用意する
- 1pairでも繁殖させることは可能ですが、複数のpairや1雌に対して複数の雄を混合飼育することで、雄の求愛行動や繁殖行動が活性化し確実に繁殖させることができます。
飼育環境について
- 用意するもの
- ケージ・・・・・・・・繁殖させる種の大きさに応じて、40cm〜60cm程度(これ以上でも可)の水槽または飼育用プラケースを用意します。
- 濾過装置・・・・・・産卵が始まると十分な水換えや掃除ができにくくなりますので、エアレーション付きのフィルターがあると便利ですが、なくても問題ありません。
- 水温計・・・・・・・・水温管理のためにあると便利です。
- シェルター・・・・流木、植木鉢を割ったもの、コルク樹皮、市販の擬岩や擬木のもの等何でもかまいませんが、湿度管理を考えて吸水性のある素材を選ぶと良いと思います。
- 陸場(床材)・・陸場の大きさや床材は繁殖させる種によって異なります。
- イモリ類(イボイモリ属は除く)
- 水場主体の飼育環境とし、陸場は島状に設けてください。
陸場は、流木や石、瓦等を組み合わせて設置してください。水中の部分に空間ができるようにすると、シェルターの機能も持たせることができます。また、陸上部分はなるべく平状にし、苔等の地被植物を植え付けると産卵場にもなります。
- サラマンダー類
- 飼育ゲージの1/3程度を陸場、2/3程度を水場とします。
流木等を利用して、陸場の水中部分に空間ができるようにすると水場面積を多く確保で
きて便利です。床材は、保湿性の高い材料が良く、赤玉土や水苔等を使用します。必ず
シェルターも設置してください。
- イボイモリ属
- 飼育ゲージの1/2程度を陸場、1/2程度を水場とします。
床材は、保湿性の高い材料が良く、赤玉土、焼き赤玉土等の土を団粒に加工した製品、水苔、椰子殻を加工した製品等を使用します。必ずシェルターも設置してください。
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イモリ属の産卵環境 |
- 水場(床材)・・水場の大きさや水深は、繁殖させる種によって異なります。
- イモリ類
- 飼育ゲージの大部分を水場とし、陸場は島状に設ければ良いと思います。
水深は、体長の2倍程度を目安にしてください。
床材は特に必要ありませんが、産卵場として水草を入れます。水草は、葉が糸状のものより、葉幅のあるものを用いて下さい。
- サラマンダー類
- 飼育ゲージの2/3程度を水場、1/3程度を陸場とします。
水深は、体長〜体長の2倍程度を目安にしてください。
床材は特に必要ありませんが、産卵場として枯れ枝や水草等を入れます。枯れ枝等の産卵場は水面に対して垂直ないしは斜めに入れて下さい。
- イボイモリ属
- 飼育ゲージの1/2程度を水場、1/2程度を陸場とします。
水深は、5cm程度を目安にしてください。
水場の一部や水場の周りに、水苔や落ち葉等を用いて湿地状態にし、産卵場とします。
蓋・・・・・・・・・・・・蓋付きの飼育プラケースを使用する場合は問題ありませんが、水槽で飼育する場合は必ず蓋を用意する必要があります。
蓋は、ステンレスメッシュ製や穴あきのプラスティック製等で通気性の良いものを選ぶと良いでしょう。
その他・・・・・・・・給水用具(ポリエチレン製の洗浄ビン)、ピンセット(給餌用として長手のもの)、スポイド、水換え用具、掃除道具等を必要に応じて用意して下さい。
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サラマンダーの産卵環境 |
繁殖させるための飼育管理について
- 温度管理
- イモリやサラマンダーの仲間は、北半球の温帯域に生息している生物なので、自然環境に近い季節変動を持たせることで繁殖行動を誘発することができます。
- イモリ、サラマンダー類
- 春期、秋期は無加温、夏季(高温期)は上限を25〜27゜C程度、冬季(低温期)は最低温度を3〜7゜C程度で飼育して下さい。
- イボイモリ属等の亜熱帯域生息種
- 一般的に春〜秋は、上限を25〜27゜C程度、冬季は下限を13〜17゜C程度を目安にして下さい(沖縄県北部の気温を参考にすれば良いです)。
- 湿度管理
- 通常期は、床材が何時も湿っている状態に保ちます。そのために床材が乾燥し始めると灌水を行いますがその時にシェルターにも灌水すると良いでしょう。
繁殖期は、2日に1度程度灌水して、陸場、苔、シェルター等が何時も濡れている状態にします(春雨前線通過時や梅雨期の環境をイメージして下さい)。
- 日照管理
- 日照時間の変化が、繁殖行動にどれだけ影響しているのかは解りませんが、なるべく自然光が得られる場所で飼育する方が良いと思います。
- 衛生管理
- 繁殖期は、繁殖させる成体の安定した状態が維持できるように、清掃等は必要最小限に留めておいた方がよいように思います。
- 給餌
- 給餌は、通常期と同程度に一週間に1回〜1.5回の割合で与えます。
卵〜水生幼生の為の飼育準備
産卵が確認されたら捕食されることを防ぐために、定期的に産卵された水草や苔ごと卵を採集し、別の飼育ケージに移します。その時に繁殖させているケージに水草等を補給して下さい。
イボイモリ属は、基本的に水場近くの湿った落ち葉や苔、腐葉土に卵を産みつけますので産卵が確認されたら、別のケージに水場と湿潤な場所を設け、卵は湿潤地の落葉下等に置いて下さい。孵化した幼生は自分で水場に移動します。
用意するもの(イボイモリ属を除くイモリ類とサラマンダー類)
- ケージ
・・・産卵数よって20〜40cm程度の水槽または飼育用プラケースを用意しますが、なるべく大型のケージを用いる方が幼生の管理が楽です。
- 水温計・・・水温管理のためにあると便利です。
- シェルター・・・特に必要ありませんが、水生幼生を高密度で飼育する場合は砂利等を入れて多孔質環境を設けると共食いを抑えることができます。
- 陸場(床材)・・・水生幼生が上陸間近になるまで必要ありません。
- 水場(床材)・・・20cm程度の水深とします。それ以上でもそれ以下でも特に問題はありません。
*注意すべき事は、産卵したゲージの水場とほぼ同様な水質や水温を準備する事 です。水環境が極端に変化すると死亡する可能性があります。
- 蓋・・・水生幼生が上陸間近になるまで特に必要ありません。
- その他・・・ピンセット(給餌用として長手のもの)、スポイド、水換え用具、熱帯魚用の網(細目)、掃除道具等を必要に応じて用意して下さい。
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